車両修理費等
⑴ 全損の場合
⑵ 一部損傷の場合
⑶ 引き揚げ費用・レッカー代、時価査定料・見積費
⑷ 保管料
⑸ 廃車費用
⑹ 買替諸費用
評価損
修理してもなお機能に欠陥が生じる場合(技術上の評価損),あるいは事故歴により商品価値の下落が見込まれる場合(取引上の評価損)に,損傷の内容・程度,修理の内容,修理の額,初年度登録からの経過期間,走行距離,車種(いわゆる高級車であるか)等を考慮して損害が認められる場合があります。取引上の評価損とは,査定価格の下落という交換価値の減少の損害のことをいい,初年度登録から3年以内程度の人気車両が対象の目安で,認められても修理費の3割程度が上限であることが多いです。
事故による修理部分が躯体部分か,躯体に影響が出る可能性があるために中古車販売店が事故車扱いにしている実態がある部位の損傷(中古車販売業者から聞き取る)の場合で修理費の2割,それ以外は1割が目安です。
評価落ちの有無と程度の証拠が必要な場合においては,日本自動車査定協会による評価落ち査定(事故減価証明書)を取得する方法もあります。
その他請求可能性がある損害
休車損
運送者やタクシーなどの営業車で車両の修理又は買換えのために使用できなかった場合の得べかりし利益の損害をいいます。
具体的には,
一台あたりの1日の利益〔(直近3ヶ月又は1年の日給−変動経費としての燃料費,通行料,運転手の乗務手当等)÷保有台数〕
を計算し,相当な修理期間や買い替え期間の範囲で損害が認められます。
なお,予備車両(遊休車)がある場合は,現実に休車損は発生しないため認められません。
被害車両がタクシーの場合,タクシー会社のタクシーは空車が多い(実車率が低い)ことから,遊休車があると主張されることが多いですが,これについてはタクシーの空車が多いことから直ちに休車損を否定していない裁判例が多いです。
代車使用料
車両の修理又は買換えのために代車を使用する必要性があり,実際に代車を利用した場合,相当な修理期間(2週間が目安)又は買換期間(1か月が目安)につき代車使用料を損害と認められます。
なお,代車期間には保険会社との交渉に要する合理的な期間も含まれ,保険会社が協定を拒絶して修理費を負担しない態度を明確にする場合やそれ以前であっても合理的な検討期間が経過するまでは修理に着手しなくても無理からぬものといえるため,その期間を代車期間として主張することも認められます。
携行品等
事故と因果関係があれば,事故時までの経年劣化分を考慮して,事故時の時価額が損害として認められます。時価額は,定率法の減価償却率に基づき計算するか,オークションサイトなどで同じ商品の似た購入時期の価格を調べることが多いです。
弁護士費用
裁判になれば,過失相殺後の認定額の1割程度が損害として認められる可能性はあります。