⑴紛争処理センターとは
紛争処理センターは,自動車事故の被害者(以下「申立人」といいます。)と加害者または加害者が契約する保険会社又は共済組合(以下「相手方」といいます。)との示談をめぐる紛争を解決するため,申立人と相手方との間に立って法律相談,和解あっ旋及び審査手続(以下「本手続」といいます。)を無料で行っている機関です。
⑵紛争処理センター利用時の和解成立率
損害賠償の関係資料が整えば,人身事故の場合は,通常は3回で70%以上,5回までのあっ旋で90%以上の和解が成立しています。
また,物損事故の場合は,通常2回で取扱いが終了しています。和解あっ旋によって合意に至った場合は,相談担当弁護士の立会のもとで,示談書又は免責証書を作成します。
また,物損事故の場合は,通常2回で取扱いが終了しています。和解あっ旋によって合意に至った場合は,相談担当弁護士の立会のもとで,示談書又は免責証書を作成します。
なお,時効中断効はありません。
⑶審査の申立て
相談担当弁護士があっ旋不調と判断したときは,不調となったことを当事者に通知します。当事者は,あっ旋不調の通知を受けた日から,14日以内に限り審査の申立を行うことができます。その場合は,センターでは3人の審査員から構成する審査会を開催し,審査・裁定を行っています。
なお,保険会社等は,センターとの合意により,センターに出席して和解あっ旋の話し合いに応じ,審査会の裁定を尊重することになっています。
紛争処理センターの利用に適した事件
⑴ 概要
相手方に保険会社が付いており,センターの利用対象外事件ではなく,かつ事故態様が争点となっていない事件
⑵ 利用対象外の事件について
① 加害者が自動車(原動機付自転車を含む)でない事故の場合,例えば, 自転車と歩行者,自転車と自転車の事故による損害賠償に関する紛争
② 搭乗者傷害保険や人身傷害保険など,自分が契約している保険会社又は共済組合との保険金,共済金の支払いに関する紛争
③ 自賠責保険(共済)後遺障害の等級認定・有無責等に関する紛争
④ 求償に係る紛争(保険会社等間,医療機関,社会保険等との間の求償)
⑤ 相手方の保険会社等が不明の場合
⑶ 手続対象外の事件(相手方の同意がある場合は対応する場合もあり)
① 加害者が任意自動車保険(共済)契約をしていない場合
② 加害者が契約している任意自動車保険(共済)の約款に被害者の直接 請求権の規定がない場合
③ 加害者が契約している任意自動車共済が,JA共済連,こくみん共済 coop(全労済),交協連,全自共及び日火連以外である場合
エ 申立人は裁定には拘束されませんが、申立人が裁定に同意した場合に は、保険会社等は、審査会の裁定を尊重することになっていますので、和解が成立することになります。
手続きの流れ
大きな流れ
センターに電話予約⇒法律相談・和解あっせん⇒審査会による審査
電話予約
紛争処理センターの本手続を利用しようとする申立人が,法律相談,和解あっ旋の利用申込みをするときは,必ず事前に電話等で予約をしなければなりません。
予約の受付は,月曜日~金曜日(祝祭日と12月29日~1月3日を除きます。)の午前9時~午後5時です(正午~午後1時までは休憩時間です)。
紛争処理センターは全国11か所にあります。
予約の受付は,月曜日~金曜日(祝祭日と12月29日~1月3日を除きます。)の午前9時~午後5時です(正午~午後1時までは休憩時間です)。
紛争処理センターは全国11か所にあります。
電話では,申込の事故の内容が紛争処理センターでの和解あっ旋に適するかを確認するために,治療が終了しているか,自賠責保険の後遺障害等級認定手続の有無等,また,相手方の保険加入状況などの質問がされます。治療中,後遺障害等級認定手続が進行中の場合は,改めて治療終了後又は後遺障害等級認定の結果が判明後に予約を申し込むように伝えられます。
電話予約時に,最初にお越しいただく相談日時が決まります。この後,センターから「利用規定」・「利用申込書」および法律相談・和解あっ旋に必要な提出書類等について説明した関係資料が送られてきますので,必要書類を揃えて紛争処理センターと相手方に送ります(別紙参照)。
資料は原則としてコピーで提出し,センターからの返却はありません。
資料は原則としてコピーで提出し,センターからの返却はありません。
保険会社等とすでに折衝中の場合は,センターに利用の申込をしたことを,保険会社等の担当者に必ず連絡してください。
ただし,物損のみの場合は,早期解決のため,原則として初回から和解あっ旋に入る取扱いをしているため,申立人だけでなく,相手方(必要に応じて所有者・運転者など)にも初回から出席をお願いしています。 そのため,申立人に初回相談日時を相手方保険会社等と決めた上での連絡を求めています。
法律相談・和解あっせん
ア 法律相談
法律相談では、和解あっ旋を前提とした相談を行います。相談担当 弁護士が面接して、申立人の主張を聴取し、提出された資料を確認の上、問題点を整理したり、助言を行います。 通常は、相手方保険会社等は次回期日から出席し、和解あっ旋に入ります。
センターの業務は、自動車事故の示談をめぐる紛争解決を前提としていますので、事故直後や治療中等、まだ示談に至らない段階での法律相談は受けていません。
次回以降の手続・予定日時は、相談時に相談担当弁護士が申立人と打合せ、決定します。
イ 和解あっ旋
申立人が、和解あっ旋を相談担当弁護士に要請し、かつ、相談担当弁護士が和解あっ旋が必要と判断した場合には(通常は2回目以降)、センターから相手方に来所を要請し、当事者双方(申立人および相手方をいいます。以下同様とします。)の出席を得て、和解あっ旋に入ります。
物損のみの場合及び申立人代理人弁護士(簡易裁判所代理権のある認定司法書士を含む)等の場合は、早期解決のため、原則として初回から和解あっ旋に入る取扱いを行っていますので、申立人から相手方への初回期日の連絡及び出席等の依頼を行っていただきます。(本部、支部、相談室によって異なることがあります。)
なお、保険会社等は、センターに出席して和解あっ旋の話し合いに応じることになっています。
● 相手方が保険会社等以外の場合で、センターが和解あっ旋を行うことを相手方が了解しない場合は、和解あっ旋ができないことがあります。
●法律相談・和解あっ旋時の相談室に入室できる方は、原則として事故の当事者本人(法定代理人)、又は代理人弁護士に限られます。申立人が介添えの方を必要とする場合は、職員に申し出てください。
● あっ旋手続は、1回に一時間以内を目途に行います。
ウ 相談担当弁護士は、当事者双方から話を聞き、中立公正な立場で争点・賠償額など、和解のためのあっ旋案(解決方法)をまとめ、当事者双方に提示します。
●あっ旋案は当事者双方に書面又は口頭で示されます。
●和解あっ旋、審査会の裁定は裁判所の判例、センターでの裁定例等を参考に行われます。
エ 和解あっ旋は、次の場合に終了となります。
●和解が成立した場合
●相談担当弁護士が和解の成立の見込みがないと判断し、和解あっ旋が不調となった場合
●申立人(被害者)が和解あっ旋を取下げた場合
●保険会社等から訴訟による解決の要請(訴訟移行の要請)が出さ れ、センターで訴訟移行の要請が承認された場合
●和解あっ旋の予約時点で訴訟、調停が行われており、和解あっ旋を行えないことが判明した場合
●相談担当弁護士が和解あっ旋を停止した日から6ヶ月を経過したに もかかわらず当該停止事由が解消しない場合で、相談担当弁護士が和解あっ旋を終了させた場合
審査会による審査
ア 審査に申立てられた事案は、事前に相談担当弁護士が関係書類と共に審査会に対して、争点、当事者双方の主張を説明し、開催の予定期日が決められます。
イ 審査においては、審査員が争点や事故の内容について当事者双方それ ぞれに説明を求め、主張をお聴きします。
審査会は相手方と交渉を行う場ではありません。審査会には当事者双方又は代理人弁護士及び審査会が認めた者だけが出席できます。
ウ 審査の結果、結論を示す裁定が行われます。
申立人は、裁定の告知を受けた日から14日以内に、裁定に対し、同意又は不同意をセンターに回答しなければなりません。期間内に回答のない場合は、不同意とみなします。
不同意の場合は、センターでの本手続は終了となります。
エ 申立人は裁定には拘束されませんが、申立人が裁定に同意した場合に は、保険会社等は、審査会の裁定を尊重することになっていますので、和解が成立することになります。
●申立人が同意した場合は、裁定の内容に基づき、示談書又は免責証書が作成され、それに基づいて、保険会社等において支払手続が行われます。
●ただし、物損の審査において、審査会が必要と認める一定の条件(注)に同意し審査会が審査、裁定を行う場合は、申立人と相手方双方の所有者が裁定に拘束されることになります。
(注)車両相互の衝突等によって、双方に物損が発生し、かつ双方に過失が認められる場合、 双方の損害に対して双方の所有者(損害賠償請求権者)があらかじめ裁定に同意することが審査、裁定を行う条件。
オ 申立人が裁定に同意した場合でも、示談書又は免責証書の作成に応じ ない場合には、同意を撤回したものとみなすことがあります。ただし、上記エの物損事案の審査において、審査会の裁定に従う旨の同意書を提出している場合は、同意の撤回は認められません。