弁護士法人i
今回は,交通事故で頻繁に発生する「むちうち」についてご説明致します。
1. 「むちうち」とは
交通事故により「むちうち」になったとはよく耳にします。
自動車の衝突等により、体がむち打ったように動き、その衝撃で首や腰に痛みがでれば、立派な「むちうち」です。傷病名としては、頸椎捻挫、頸部症候群、腰椎捻挫等々であり、様々な名前がつきます。
2. 「むちうち」の治療期間
「むちうち」には、大きく分けて、
①患部に炎症を起こしているだけのものと、
②神経を損傷してしまっているもの があります。
単に①炎症にとどまるものであれば、受傷後3ヶ月程度で治癒すると言われています。
これに対して②神経を損傷してしまっている場合は、6ヶ月程度治療しても、痛みや痺れ等の症状が治まらないことがあります。
3. 「むちうち」だけでは後遺障害は認められない?
上記②の場合、後遺障害の対象になります。後遺障害とは、寝たきりになったとか、手足を失った場合でなくても、認められるのです。
「むちうち」の場合、自賠責法上、後遺障害12級12号又は14級9号が認められています。
4. 「むちうち」の証明
「むちうち」とは、骨折等のように外見上分からないことから、保険会社が認めてくれないことがあります。この場合、被害者の側で「むちうち」を証明しなければなりません。
では、どうやって証明するのか?
これは、専門家でないと判断が困難です。
例えば、一般的な証明方法として以下のものが挙げられます。
①画像
MRI等により撮影し、神経に損傷があることを証明します。
ちなみに、レントゲンには神経の損傷は写らないことが多いので、MRIを撮らなければなりません。
②神経学的検査
神経が損傷していても、MRIには写らないことがあります。
その場合でも、神経学的検査により証明することができます。神経学的検査とは、特定の神経の損傷を調べる検査で医師が行うものですが、患者が痛みを訴えているからといって常に医師が自ら行ってくれるものではありません。「●●の検査をして下さい」と特定して初めて行ってくれる場合も多々あります。
③物損の状況
直接神経の損傷を証明するものではありませんが、自動車が大破している等の場合、被害者が遭った交通事故による損害の大きさを証明することも有効です。事故の時に大きな衝撃を受けていれば、神経の損傷も推認されるからです。
以上の①~③等により「むちうち」を証明することが望ましいのですが、これらのうちいずれか、またはいずれも証明できなかった場合でも、後遺障害が認められることがあります。それは、病院に多数回通ったことで「それだけ症状が悪かった」とみてもらえた場合です。この場合は、通院回数が証拠の代わりを果たしてくれるようなものです(ただし、ケースバイケースですので、必ず認められるとは限りません。)。
このように、「むちうち」を証明するためには、豊富な知識と経験が必要です。被害者の方のうち、ほとんどは初めて事故に遭った方であり、交通事故の知識などありません。たかが「むちうち」かも知れませんが、被害者にとっては、人生のどん底を味わう程つらい場合も少なくありません。専門家による適格なアドバイスにより、適切な賠償を得るべきだと思います。
一人で不安があれば、ご相談ください。一緒に戦いましょう。