自転車・バイク乗車中/歩行中の交通事故について

自転車・バイクに乗車中や歩行中に交通事故に遭ってしまう方は少なくありません。

警察庁交通局の発表によると、令和4年中に交通事故で死傷した人の数は、二輪車乗車中で3万8,945人、自転車乗車中で6万8,140人、歩行中で3万8,195人もいます。

自転車・バイク・歩行者と自動車の交通事故は、自動車同士の事故よりも重大事故につながりやすいという特徴があります。被害に遭った場合には、怪我の治療をしっかり受けるとともに、適正な金額の損害賠償金を受け取ることが重要です。 今回は、自転車・バイクに乗車中や歩行中に交通事故による被害の特徴と、損害賠償請求における注意点をご説明します。

1 自転車・バイクに乗車中や歩行中の交通事故による被害の特徴

自転車・バイクに乗車中や歩行中の交通事故による被害の特徴として、次の3点が挙げられます。

(1)怪我が重症化しやすい

自転車・バイクの運転者や歩行者は、自動車の運転者とは異なり体が露出している状態なので、交通事故に遭うと怪我が重症化しやすいといえます。

通常、歩行者には身を守るものが何もありませんし、バイクの運転者もヘルメットで頭部を保護している他は無防備であることがほとんどです。自転車では令和5年4月1日からヘルメットの着用が努力義務とされていますが、ヘルメットを着用している人はまだまだ少ないのが実情です。

交通事故によって生身の体に直接の衝撃を受けるのですから、重大な怪我を負いやすいのは当然のことでしょう。

(2)後遺障害が残りやすい

重大な怪我で後遺障害が残りやすいという点も、自転車・バイク・歩行者の交通事故による被害の特徴のひとつです。

必ず後遺障害が残るわけではありませんが、自動車に乗車中の人よりも体に強い衝撃を受ける分、完治しないほどの大きな怪我をする可能性が高いといえます。

具体的には、骨折がうまく治らず変形したままとなったり、機能障害や神経症状が残ることが多々あります。脊髄を損傷したり、頭部を損傷して高次脳機能障害が生じることも珍しくありません。また、顔面などを負傷して外貌醜状が残ることもあります。

(3)死亡事故につながりやすい

自転車・バイク・歩行者は交通事故で体に大きな衝撃を直接受けるのですから、死亡事故につながりやすいことも見過ごせません。 警察庁交通局の発表によると、令和4年中の交通事故で死亡した人の数はバイク乗車中で435人、自転車乗車中で339人、歩行中で955人でした。構成比でいうと、歩行中の死者数が最も高い割合を占めています。

2 損害賠償請求における注意点

損害賠償請求における注意点としては、次の3点が挙げられます。

(1)十分な治療を受けること

怪我の治療を十分に受けることは、ご自身の体のために必要なだけでなく、適正な金額の損害賠償金を受け取るためにも重要なことです。

重大な怪我を負うと入通院期間が長引く傾向にありますが、入通院期間に応じた金額の傷害慰謝料を請求できます。仕事を休まなければならない場合には、休業損害も請求できます。

この点、保険会社が早期に治療費の打ち切りを打診してくることが多いですが、安易に応じないようにしましょう。保険会社の言いなりになって症状固定にしてしまうと、治療費だけでなく傷害慰謝料や休業損害も打ち切りとなってしまいます。

(2)適正な後遺障害等級の認定を受けること

怪我が完治しない場合は、後遺障害の申請をして後遺障害等級の認定を受けることが重要です。認定されると、等級に応じて後遺障害慰謝料と逸失利益を請求できます。

申請する際は、保険会社に手続きを任せる「事前認定」の方法をとる人が多いのですが、これでは証拠資料が不足し、後遺障害の認定審査で不利となる可能性があります。

適正な後遺障害等級を獲得するためには、自分で証拠資料を集めて申請する「被害者請求」の方法をとることがおすすめです。

(3)過失割合を的確に主張すること

自転車・バイク・歩行者は「交通弱者」と呼ばれており、交通事故の損害賠償では過失割合について自動車よりも有利に取り扱われています。

しかし、加害者や保険会社は賠償金の支払額を少しでも抑えようとして、「そっちが飛び出してきた」「道路の真ん中を歩いていた」などと、不合理な主張をしてくることが少なくありません。 相手の言い分を鵜呑みにすると、過失相殺により賠償金が不当に減額されてしまいます。示談交渉の際は、事故の発生状況をありのままに説明し、正当な過失割合を主張することが重要です。

3 まとめ

自転車・バイクに乗車中や歩行中の交通事故で被害を受けてお困りの方は、お気軽に弁護士にご相談ください。

治療中の注意点に関するアドバイスから、後遺障害の申請、示談交渉まで万全にサポートいたします。 重大な被害を受けた以上は、適正な金額の損害賠償金を受け取るようにしましょう。

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