骨折とはいわゆる骨が折れることであり,外力によって骨にひびが入ったり,その一部または全部が折れることをいいます。
骨にひびが入る程度であればその後の治療によって骨が完全に癒合して完治することも多いですが,傷口が開いてしまって骨が体の外部にはみ出してしまう開放性骨折や複雑骨折となると,同時に神経にも損傷をきたしている場合が多く,何らかの後遺障害が残ってしまう場合があります。
注意点
① 骨折には大小さまざまなものがあり,交通事故発生時に骨折以外の痛みが顕著な場合,つい骨折箇所について医者に痛みを訴えることをせず,事故からしばらく時間が経過してから訴えるということがあります。
そのような場合,当該骨折は事故とは関係がないものではないかとして,保険会社から治療費が出なくなったり,いったん治療費は払われるものの症状固定後の慰謝料などの算定にあたって当該骨折への治療が金額に考慮されなくなることがあります。そこで,これは交通事故一般にもいえることですが,事故に遭った場合,体に痛みや不自然な点があれば,漏らさず正確に医者に伝えることが肝要です。
次に,骨折において骨癒合に何の問題もなく完治したら良いのですが,骨癒合が不完全または不自然なまま症状固定になってしまう場合があります。その結果,関節が通常どおりに曲がらなくなってしまった場合には関節の機能障害として後遺障害12級以上が認定されることになります。また,特に関節が曲がらなくなるといった事情がなくても,変形障害として後遺障害11級が認定されることもあります。
骨折の場合には,その診断がXP(レントゲン)などの画像からなされることが多く,骨癒合状態も画像から明らかとなることが多いので,神経症状などの他の症状に比べたら,後遺障害認定に必要な所見は集まりやすいといえます。
② 特殊な場合として,眼球を支える部分の骨である眼窩底骨折や上腕骨といった太い神経が通っている箇所の開放骨折の場合,骨がうまく癒合しても神経に損傷が残ってしまい,しびれや痛みなどの症状が残ってしまうこともあります。このような場合は,神経症状として後遺障害が認定されることがあります。
いずれにしても,交通事故における骨折には大小さまざまなものがありますが,違和感があればすぐに医者に報告して,XPやMRIを撮影してもらっておくことをお勧めします。