事例 No.1「交渉で裁判基準額での賠償金獲得」
依頼者:60代女性 相談内容:加害者側との賠償金交渉 ・事情 依頼者が歩行中、車と接触し片脚を骨折しました。相手方へ請求する賠償金は、労災保険から支払い済みの約700万円を除いた残額でした。残額の算出のための休業損害、慰謝料の計算につき、当方と相手方で争いとなりました。 ・経過と結論 相手方の当初主張では、支払うべき残額は190万円とされていました。これに対して当方では裁判基準に照らした賠償金獲得のため、裁判基準による計算が妥当であるとの主張を尽くしました。 結果として、交渉の甲斐あり、裁判基準に則った額での合意がなされました。 ・今回の解決事例のポイント 裁判基準での賠償金獲得のために交渉を尽くし、相手方主張の約190万円を200万円ほど上回る約380万円での合意を達成しました。 |
事例 No.2 「家事従事者の休業損害」
依頼者:40代女性 相談内容:相手方保険会社との示談交渉 ・事情
依頼者がバイク走行中に車両と接触し、負傷しました(過失割合は依頼者5:相手方95)。相手方保険会社より治療費は支払われていましたが、その他の損害、特に休業損害の額について交渉の必要がありました。
・経過と結論 相手方保険会社からは、依頼者がパートタイム労働者であるとして、その収入を元に休業損害を計算した額が提示されました。しかし、依頼者のパートタイム労働での収入は多くはなかったため、パートタイム労働者として算定すると休業損害が低額になってしまいました。 そこで、当方としては、パートタイム労働者ではなく、むしろ家事従事者であるとして休業損害を計算するように交渉を行いました。家事従事者については、厚生労働省が賃金実態についてまとめた「賃金センサス」を参照し、1日当たりの損害額を算出します。交渉の結果、当初の相手方主張より賠償額を増加させることに成功しました。 ・今回の解決事例のポイント パートタイム労働者については、その収入額によっては家事従事者とする方が休業損害が増加することがあります。そして、相手方との交渉において、なぜパートタイム労働者ではなく家事従事者と評価すべきなのかを説得的に主張する必要があります。賠償額アップは弁護士の交渉力の賜物といえます。 |
事例 No.3 「役員報酬と休業損害」
依頼者:会社役員男性
相談内容:相手方保険組合との交渉
・事情
依頼者は会社役員男性で、人身事故により負傷してしまいました。依頼者は製造業を営む会社の役員で、会社からは役員報酬を受け取っていました。この役員報酬について休業損害と認められるべきかが交渉の争点となりました。
・経過と結論
相手方は、役員報酬は労務提供の対価ではないという原則論から、依頼者に休業損害は認めないという主張でした。当方としては、依頼者は中小企業の役員であり、会社では自らも労務に従事するものであることから、役員報酬には労務に対する対価を含むとして、例外的に休業損害として認められるべきであるという主張を行いました。依頼者の会社の状況や依頼者の労務の実態を示す資料を準備し、相手方との交渉を進めました。
交渉の結果、相手方は休業損害であるとの明言は避けたものの、慰謝料額について当方主張の額より約20万円増額することに応じました。
・今回の解決事例のポイント
依頼者の被る損害の実態に寄り添って、相手方と交渉を尽くすことで、賠償額アップを達成しました。相手方説得のためにはいかに多くの客観的資料を用意できるかがポイントとなります。
|
事例 No.4 「適切な等級認定の獲得」
依頼者:40代女性 相談内容:後遺障害等級認定非該当への異議申立 ・事情 依頼者は道路に信号待ちで車両を停車中、信号が青に変わったと勘違いした後続車に衝突され、首、肩、腰を痛めてしまいました。半年ほど通院を続けましたが、首から左腕にかけての痛みや頭の痛みがは治まらず、外回りの営業の仕事を退職せざるを得なくなりました。 しかし、加害者側任意保険会社による障害等級の事前認定では、後遺障害に非該当であると判断されました。そのため、当方としては障害等級第14級9号に該当するとして異議申立で争うこととしました。 ・経過と結論 事前認定における非該当事由は、依頼者の症状について、①自覚症状を裏付ける客観的な医学的所見に乏しいこと,②治療状況等も勘案すれば,将来においても回復が困難と見込まれる障害とは捉え難いこととされていました。 異議申立においては、CT画像、MRI画像からみられる所見や診断書記載とデルマトーム図(脊髄神経が司る皮膚領域を示した図)との符号といった客観的資料を用いて、申立人の自覚症状は他覚的所見により裏付けられていることを示しました(①)。また、依頼者が本件交通事故以来,一貫して頚部,腰部,左腕の痛み及びしびれを訴え,痛みのために継続して通院していることを示し、将来においても回復困難と見込まれる障害であることを主張しました(②)。 結論としては、異議申立が認められ依頼者は首、腰の症状について併合第14級の後遺障害等級に該当すると認められました。 ・今回の解決事例のポイント 加害者側任意保険会社による後遺障害の事前認定は申立の手続きや調査費用などを保険会社が負担してくれるため場合によっては有用です。しかし、被害者は後遺障害診断書の他には希望通りの資料を出せるわけではなく、障害等級認定で不利な判断がなされるおそれがあります。
本件も事前認定で被害者の依頼者にとって、「後遺障害に該当しない」という不利な判断がなされた事件でした。しかし、当所の弁護士の異議申し立てによって判断は覆り、依頼者は適切な障害等級認定を受けることができました。そして、この障害等級認定を前提として、依頼者は保険会社から保険金の支払いを受けることができました。 |
事例 No.5「後遺障害と認められなくても、慰謝料増額」
依頼者:10代女性
相談内容:加害者側との賠償金交渉
・事情
依頼者は交通事故で頭部挫創、全身打撲等の被害を受けました。治療後、依頼者の顔面に1cmの傷跡が残ってしまいました。この傷跡に関して、後遺障害と認められるか、慰謝料において考慮して増額できないかを争いました
・経過と結論
障害等級では、顔の傷跡について「顔面部において、長さ3cm以上の線状痕」が認められる場合には、「外貌に醜状を残すもの」として12級への該当を認めています。本件のような1cmの傷跡では後遺障害に該当しないとして、加害者側保険会社は当初、賠償金の増額を拒みました。
当方としては、自賠責基準に至らない後遺症があった場合であっても、後遺症が及ぼす実質的な不利益に応じた慰謝料が認められるべきと主張しました。被害者が女性であること、18歳という多感な時期であること、上記瘢痕が瞼という特に目立つ部位にあること、自賠責12級14号とされる3cmの線状瘢痕の3分の1の大きさであること等を挙げて、慰謝料算定に勘案すべきことを主張しました。
結果として、相手方は傷跡を慰謝料に反映し増額を認めました。具体的には当初の相手方主張額よりも約30万円の増額を獲得しました。
・今回の解決事例のポイント
形式的には後遺障害とは認められない事項についても、依頼者の置かれた立場を考慮し、その実質的な権利回復のために、慰謝料増額の交渉を尽くしました。
|